友人が働いている介護老人保健施設で、音楽療法を行いました。
有償で行う、初めての音楽療法。
私のモットーは、「自分の五感を感じて、感情に気が付いて解き放っていく」こと。
これを目標に、
・呼吸法
・声の準備運動
・季節の歌
・手遊び
・合奏
・懐かしい歌謡曲
でプログラムを作り、クールダウンの唱歌で終えました。
2部制で、参加してくださった各回10名の参加者様。お体が不自由な方が多かったけれど、お一人お一人にご挨拶したとき、ちゃんと目を合わせて、「よろしくお願いします」など、受け入れてくださいました。
この日のセッションアイデアを考えているとき。
音楽療法士の認定試験前用に計画したプログラム表を見返していたら、担当講師の方に、「あなたは十分(クライアントさんに)寄り添えてるから、もっと引っ張っていって、対話を楽しんで!」と言われて書き取ったメモ書きを見つけ、ハッとしました。
そうだ。「クライアントさんにこうなって欲しい」という自分の願望を前面に出そうとしていたかもしれない。
目的達成の前に、参加者の方々お一人お一人と、共に過ごす時間を大切にするんだ・・・。
そう意識に落とし込んで、本番に臨みました。
秋の歌を歌う前に、「秋と言えば何を思い浮かびますか?」など質問を投げかけると、「柿」とお返事が返ってきました。
「いいですね~。甘くておいしいですよね。熟したのとパリッとしたのと、どちらがお好きですか?」
「う~ん。どっちが好きかしらねぇ。パリッとしたほうかしら。」
そんなお返事から、熟々派とパリパリ派とお好きな柿のタイプに手を挙げて頂くー。
全体を通して、お一人との対話から、全体への対話へ広げていくことをやっていきました。
そして、合奏のときの一体感ときたら・・・。
皆さん、私の手作りのマラカスに感心して、「よく思いつかれましたね~」「この大豆が5つも入っていて、作るの大変だったでしょう」など、細やかなところに気付いてくださって。
そして、曲に合わせて、それぞれのお体の状態で、どんどんリズムの変化に対応していって、3番を終えた瞬間、その場から、柔らかなる心の共鳴のようなものを感じ、ものすごい高揚感に包まれました。
「汗をかいた」、「ほんとに楽しかった」、「ずっとこうしていたい」。
マラカスを回収して回ったとき、ほうぼうからそんな感想をたくさん頂きました。
五感を感じてもらい、感情が湧いてきたら、それを言葉にしていただく。それを引き出すことが目標だった、初回の音楽療法。
目標をまずは達成、と嬉しいけれど、ただ思い出すのは、参加者さんたちの、本当に穏やかでとても澄んだ笑顔・・・。最初にご挨拶した時には表情が固まっていた方が、口元や頬を動かされたり、最初から最後までずっと穏やかに笑顔で見つめてくださった方も。
施設の職員・スタッフの方々にも、事前準備と会場設置にご協力・ご助力頂きました。大勢の方のお力添え、そして参加者さんの暖かいお気持ちのおかげで、私はこうして開催できたんだなぁと、ありがたい気持ちが溢れて巡った、忘れられない一日になりました。