昨日歌のレッスンの前に、レッスンがある街のパワフルな商店街の一角で日用品の買い物をした。
そのお店に行くのは久しぶり。行ってみるとレイアウトが変わっていて、今まで売っていたお目当ての品物は2階に移動したと、壁にお知らせが貼ってあった。
そのとおり階上にいくと、誰もいない。靴下類が所狭しと陳列され、インナーウェアがガンガンかかっている移動式のハンガーが並んでいた。通路と呼べるスペースはなく、商品を見ながら横歩きして進んでいく。
そうやって一周まわりかけたところで階段を勢いよく上がってきた人がいて、私と鉢合わせになった。その人は私が今そこで見定めている商品が自分の目当ての物だと分かっても、譲り合おうとする態度を示さなかった。私はむしろ勢いで押され、相手から感じる「性急さ」を避けようと、すっと逆回りに向きを変え、「品物を選んだし、レジに向かおう」と、階段を降りようとした。
すると、その人が急に私の前に入ってきて、階段をドカドカ下りていった。
二回も行く手で鉢合わせた、と思ったけれど、階段を下りる相手の後ろ姿を気にすることもなく、その人の後にレジに並んだ。
どうやらその人は既にレジで支払いの途中にあって、買い忘れたもの?を取りに行っていたようだった。
あ~、だから急いでたのかー。
そう思い、その人のカゴの中身が全て会計を通ったため、私は自分の商品をレジ台の隅にそっと置いた。
すると店員さんが、まだその人の会計でごちゃついて、なにかネガティブな雰囲気の中、私に「(商品を)置かれて少しお待ちください」と丁寧に声を掛けてきた。この状況で私に意識を向けることに、違和感を感じた。
私は全く感知していなかったからちゃんと見ていなかったけれど、その人は、会計で店員さんに何やら不平を言っている。
そして最後、レジの店員さんに「・・・~しなくていい。人のほうが間違える!」と捨てセリフを吐いて、バッとその場を去っていった。
店員さんは困ったような笑いを私に向けながら、「お騒がせしてすみません」と謝ってきた。私は「いえ。」と全く気にしていなかったからそう返した。
すると店員さんが、その人の不平について私に話してきた。私はその状況に対する店員さんの心情を感じて、「お疲れさまです。」と返した。
「前の人が忘れ物をして、追いかけていった間(その女性を)待たせたんですね。そのことも気に入らなかったのかもしれません。」店員さんは、女性とのエピソードを付け加えた。
「お急ぎだったのかもしれませんね。」私は、私が2階でその女性と接した時に感じたことを思い出し、そう答えた。
店員さんは、「いろんな方がいらっしゃいまして・・。」と最後まで苦笑いを見せながら、私に「すみません。ありがとうございます」と、買い物に対して+αな感じで言った。
あの女性と店員さんとの関係。
私は、あの女性が急いでいたであろうとも(感情的に)譲歩する必要はなく、店員さんに辛辣な思いをしたことに同情することもない。
でもどっちも「私」に関わってきたことに、意味を感じた。
私は特にどちらからも迷惑を掛けられたと思わなかったけれど、どちらの感情も掬い取っている感覚を感じていた。それを二人とも感じたから、あの女性は私の前で自我を出し、レジの女性は、しんどい心の内を私に打ち明けてきたんだろうか、と。
もし相談されたなら、二人が向き合って話をするように持っていくところ。
そして何より、向き合うには、自分の感情、相手の感情を感じているか。そして、たとえ立場が違っても、お互いが対等だと認識してもらうことから始まる。