久しぶりに、仕事帰りにデパートに寄りました。
去年、店内の文具店で購入した手帳が気に入り、今年は別のデザインを試してみたかったから。
事前にオンラインショップで手帳が販売されていることを確認していたものの、残念ながら、お店には同じ手帳は売っていませんでした。
それから時期的にタオルを買い替えようと思い、生活用品売り場に行き、タオルを5枚選びました。
そしてレジに行くと、レジは3つあり、それぞれ接客中で、3人の方が並んでいました。
私の前に並んだ方たちがレジに通された時に、すでに割と時間が経っていましたが、私が最前列まで来てからも、だいぶ待つことになりました。
よくよく見ると、私の前の方たちは全員、ハンカチやタオルをたくさん購入され、一枚ずつ、個包装を依頼されていました。
時期的に、お世話になった方へお配りするのかな・・そんなふうに眺めていました。
そんな個包装に、レジの裏方にいる店員さんたちも駆り出され、一枚ずつ袋に入れ、シールを貼っています。
気が付くと、私の後ろにはもう6名程が並んでいました。
蛇行した列からは、どことなく、ジリジリとした空気が漂ってきます。
一方、レジでは、デパートのカードや友の会、〇〇ポイントカードの有無を確認し、それがスマホに入っているご高齢の方の操作を手伝ったり、包装について個別の依頼をしていたり、細かいやり取りが行われています。
店員さんたちはそれぞれ、目の前のお客さんの対応に集中して、焦ったりなど態度に全く温度変化が見られません。
それどころか、お客さんと雑談に応じ、そのお連れさんもとても和やかな雰囲気で、レジの応対を受けていました。
一つレジが空き、私の番かなと思ったけれど、そのレジの店員さんはお客さんをレジ横の椅子に案内し、後ろのテーブルで個包装をし始めました。
きっと、列が長くなってきたことも分かっているはずだけれど、店員さんは皆丁度良い丁寧さと対話があり、「いいなぁ、こんなふうに応対されたら客の立場としたら満足するよねぇ・・・」
そんなふうに、ゆったりと静かな心持ちで目の前の光景を眺めていました。
ついに、私の番が来ました。
私もタオルを出し、「ご自宅用ですか?」と尋ねられ、そうですと応え、デパートのカードを出して決済を待っていました。すると、一枚一枚たたみ直していた店員さんが、「ここが汚れていますので、別のものにお取替えしますね」と言い、タオル売り場に探しに行ったのです。
私は、こんなに忙しい中でも、たたむだけじゃなくて一枚ずつ検品していたと知り、とても頭が下がりました。なんて素晴らしいのだろう・・と。
そして、早足で戻ってきて、「こちらでよろしいでしょうか?」と換えたタオルに汚れがないことを一緒に確認するよう広げて見せてくれた店員さんに、感激して、「大丈夫です。汚れに気が付いてくださってありがとうございます」とお礼を言いました。
そして、丁寧にタオル5枚をビニールの袋に詰めてくださり、手渡されました。
「ありがとうございました。」
「あ、おつり・・・」そう私が言うと、店員さんはハッとして口を手で覆い、さっと振り返ってレジ係さんからトレーを受け取っておつりを差し出しました。
「失礼しました。ワタワタしてまして、気付いてくださりありがとうございます。」と、胸の横で手をパタパタしてワタワタを表現しながら、満面の笑顔でそう言ったのです。
そうか。ゆったりと接客しているように見えて、やっぱり長蛇の列を気にしていたんだね。
お互い、気付き合えて、なんて豊かな気持ちを交換できたんだろう。
ゆったりと静かな豊かさ感じたら、私も同じものを得て、さらに、目の前の人と交換することができた。手帳は買えなかったけれど、そんな無意識の豊かさを体感した、素晴らしい買い物でした。